
職場の同僚も、友人も、親も、誰も私の不妊の悩みをわかってくれない、そう思いこんで根詰めていた私にとって、この問題を一から十まで話せるのは夫だけでした。
職場でこんなことを言われた、友達がひどい、親に八つ当たりしてしまった、何故うちには子どもが出来ないのだろうという悩みから始まり、日々の愚痴と鬱憤を彼に吐き出すのが私の日課でした。
今思えば、夫も相当参っていたのでしょう。
仕事で疲れ果てて帰宅すればヒステリックな妻がグチグチ言っている、それなのに布団に入れば誘ってくる、うんざりもするはずです。
その頃の性交の回数は極端に少なくなっていたと思います。
「なんでしてくれないの? 赤ちゃんほしくないの? 私ももう年なんだよ? 時間無いんだよ?」
自分のせいではないのに常に責められていて、それでやる気が出るのなら奇跡です。
拒む夫に苛々が募っていた頃、事件が起こりました。
いつものように基礎体温表とにらめっこしていた私は、ふと思い立って夫にそれを見せました。
グラフではなく表紙の裏側の付録、妊娠しやすい時期や卵子の生存期間について書かれたページです。
「こういうの知ってる?」と言って私は面倒臭そうな顔をする夫に無理矢理その頁を読ませました。
「ねえ、知ってた? 知ってるよね?」しつこく尋ねる私に夫は「知らなかった」と正直に答えました。
やっぱり、と思いました。
私だって通院前は、妊娠のメカニズムも不妊治療の内容も数ある専門用語も何も知りませんでした。
知らな過ぎて医師に呆れられたのです。
それなのに当時の私は、不妊夫婦である限り、妊娠しやすい時期などの基礎知識は夫にも知っていたほしかった、知っているべきだという思いに駆られていました。
「なんで知らないの? 赤ちゃんほしくないの? 私だけ頑張ったって出来るわけないじゃん。もっと協力してよ!」と夫をなじりました。
知らなくて普通です。
むしろ産婦人科医でもない一般男性がそうした事情を何もかも知っていたら、その方が少しおかしいというものでしょう。
夫は何も言いませんでしたが、私は一人で憤慨していました。
裏切られた気がしていました。
本当に一人ぼっちだと思ったのです。
どんな治療も同じかも知れませんが、不妊治療でも一番の問題は心のケアだと私は思います。
度重なる検査、治療、性交、そして月経。
毎月期待し、期待が大きければ大きいほど落ち込み方も激しく、妊娠適齢期と呼ばれるタイムリミットへの焦りは徐々に加速していきます。
費用の負担も計りしれません。
昨今の少子化対策で助成金を出す自治体も増えてきましたが、それでも自己負担金ゼロというわけではないのです。
こんなに頑張っているのに何故結果が出ないのだろうという悲しみと、頑張った素振りが無いのに平然と自然に子どもを授かっている人々の姿に歯痒い思いをします。
そしてそんな心情は、実際に不妊治療をしてみないと決してわからないのです。
責めれば責めるほど離れていく夫と、日に日に妊娠の可能性が減っていく自分の体に焦りは頂点に達していました。
そして頂点を過ぎて、その思いは別の方向へ転じていきます。
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